アルミ TIG溶接
アルミ溶接で高精度な接合
アルミニウムのTIG溶接の最大の特徴は交流溶接で行うということです。
鉄やステンレス、チタンなどの多くの鋼材は、直流TIG溶接にて行います。しかし、アルミは電極と母材が「+」「-」と交互に変わる交流TIG溶接で行います。
アルミの表面は頑固な酸化皮膜で覆われており、アルミは酸素と結びつきやすく、空気中に放置するだけで酸化皮膜が形成され、これを除去しなければ溶接を上手く行うことができません。酸化皮膜を除去するために、母材側を「-」としてアークの“クリーニング作用”を利用します。この時、電極側が「+」となり、電極は加熱して消耗してしまうので、大電流が流せないため、再度「-」にして安定的なアークを保ちます。これが繰り返し行われることにより、酸化皮膜の除去とアークの安定性が両立できるのです。
アルミニウムは鉄やステンレスに比べ、融点が660℃とかなり低いですが、熱の伝わりが非常に良いため、溶接を開始すると熱が母材全体にすぐに拡がってしまいます。母材全体の温度が上がるので、母材自体の溶け落ちがしやすくなり、徐々に溶接中のトーチや溶接棒を動かす速度を変えなければなりません。また、同じ速度でトーチを動かし続けると、徐々にビード幅が広がって美しい溶接外観が得られなくなるため、溶融プール(アークが出ている先の母材が溶けている場所)の大きさを見ながらトーチの送り速度を早くする必要があります。
TIG溶接は薄板から厚板まで幅広く対応ができる上、溶接した面の欠陥発生が少なくなります。また、耐食性も高く品質の高い製品に仕上げることができます。